7/7
前へ
/20ページ
次へ
 その刹那、角から人影。7人目の警備員。    動揺。心臓が跳ね回る。    黒星に弾丸は入っていなかった。警備員の手には拳銃。  ドイツ連邦共和国総合銃器メーカー ヘッケラー・アンド・コッホ社製ユニバーサル・セルフ・ローディング・ピストル(USP) 9㍉×19口径セミ・オートマチック・ピストルだ。    そして、この構えは…スーパインだ!  ハリウッド俳優トム●クルーズが元SAS隊員に教えを乞い習得し映画コラテ●ラルで華々しく披露した、あのスー★パインだ!    暗い銃口がこちらを睨む。小さな銃口が闇のように広がる。   「うわああああぁぁ!」    マイケルの気合い。    室内の音の響き具合いから、あたかも断末魔の悲鳴のように聞こえてしまったが本来は武道家が松板などを叩き割る時に入れる鍛錬を重ねた者にしか出せない気合いだった。    警備員の首筋に手近にあった花瓶を叩きつける。    呻き。    警備員は反撃能力を残している。    花瓶。鳩尾にめり込ませた。   「何者だお前ら」    警備員が喚く。    花瓶の乱れ打ち。弱々しい声。血が滾る。    気付くと花瓶はバラバラになっていた。破片の一つに値札が貼ってあった。$1兆。    これ盗んだ方が良かったんじゃないか?    とにかく、もう警備員はいない。二階の女を誘拐する。    そして金を要求する。     「さっき絶対、慌ててたよな」    手下の一人が余計な口を開いた。   「何か言ったか?」    睨み付けて黙らせる。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加