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「・・・ごめん。」
薄く目を開けた私を覗き込み、青慈さんが髪を梳きながら呟いた。
ううん、と首を横に振り、ちょっと困ったように微笑むと、同じような顔をした青慈さん。
なんか、可愛い・・・
申し訳なさそうに、恥ずかしそうに、私を見下ろす彼を愛おしく感じ始めていた。
「ふふっ、ちょっと・・・大変だった・・」
青慈さんの指に自分の指を絡めながら、自分の言ったことに徐々に赤面していくのがわかると、シーツに目から下を隠して、視線を青慈さんに送った。
初めてがこの人でよかった。
顔と肩書きと女性経験で選んだ彼氏。
私はこれから、もしかしたら彼と別れる事になるかも知れないけど、彼のことは、一生大切な思い出になるんだろうと確信していた。
だけど、現実は、別れるよりも残酷なことが待ち受けているなんて・・・
この時の私は、想像すらしていなかった。
青慈さんにプロポーズされたのは、それからすぐのことだった。
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