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「深紅、結婚しようか。」
それは突然だった。
まだ付き合って半年。
私はまだ学生で、青慈さんが初めての彼氏で・・・
断る理由はたくさんあるのに、言葉が出てこない自分に、じれったさを感じていた。
青慈さんの部屋で、青慈さんのベッドの上で、青慈さんの腕の中で。
薄く笑みを浮かべたその顔は、普段なら優しく映るのに、なんだかこの時は、『拒否は許さない』と言われているかのような薄気味悪さを感じた。
「少し・・・考えさせてください・・・」
私は、それだけをやっとの思いで口にすると、唇の端で下手くそな笑顔を作った。
「わかった」
青慈さんもそれだけ言うと、私の頭にポンポンと手の平を数回乗せて、ほんの少し思案するような表情を浮かべた後、私を胸に抱き、眠りについた。
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