1・彼女の当たり前

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「私、飛んだり走ったりする方が好きだから、一番好きな教科は体育なんだけど」 「パーフェクト・・・・・・」 確かめることが出来ないから、その言葉を信じることしかないのだが、ここで見栄を張る理由もない。 もはや秀才の域を超えている。佐々泉水という女子高生は天才なのかもしれない。 「だからと言って、何かしらの部活に入る気はないんだけどね」 「・・・・・・」 つまらなさそうにぐるぐるとストローを回す泉水の姿は、高校2年生のものではなく、巧は同年代の女性と話しているように錯覚してしまう。 咳払いをして錯覚を消し、「高校時代は、自分のやりたいことをして過ごせば良いんだよ」と、ありきたりなアドバイスを言った。 泉水は安堵に見える表情で「そうだよね」と返した。 「じゃあ、そろそろ勉強を始めても・・・」 「おいコラ、ちょっと待て。それが狙いか小娘」 そそくさと立ち上がろうとする泉水の頭を掴み、無理矢理座らせる。 「痛い痛い!だってもう1時間は我慢したよ?そろそろ1問ぐらい解かないと禁断症状が・・・」 「出ねーよ、そんなもん!何の為にオレがいると思ってんだよ、ああ?勉強しないくらいで禁断症状が出るなら、ウチの病院に招待してやるぞ」 「卑怯だ!先生の家って大病院だし、精神科で有名なとこじゃん!そんな病院なんかに行ったら死んじゃう!私死んじゃう!!」 「人聞きの悪い事を言うんじゃない!」 イヤイヤと頭を振って泉水は抵抗しているが、手を動かしていない巧は勝手に泉水の髪型を乱している形になる。 .
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