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これまで、私は自分の性癖について特別違和感を感じたことはなかった。今通っている中学は女子校で恋愛話に花を咲かせることも少ないけど、小学生の頃は人並みに男の子を好きになり、一回は両想いと呼ばれる関係にまでなった。上記の通り 中学が別れてしまったので、自然消滅をしてしまったのだけれど、ともかく、私はこれまでどこにでもありふれた女子中学生だったのである。 なのにどこかで歯車が壊れてしまった。クラスメートである女子に突然「好き」と告白されたのだ。その時の私は実に間抜けな顔をしていたに違いない。頭もついていかなかっただろう。何を言われてるのかすら解らなかった。何せ、私の中の知識としては男女で交際するものが当然であって、それを覆すような知識を持とうとはしなかったもので、それはあまりにも唐突過ぎだ。 時間が経過してから私はそのクラスメートのことを考えたのだが、私からすれば彼女は他の友人と何ら変わらなかった。知っているのは名前と性別と、プロフィール帳を見返せば誕生日やその他諸々くらいであり、彼女がどんな経歴の持ち主で、何が好きで、とか詳しいことは何も知らない。仲のいい数人は別として大半のクラスメートに関してはそんなものだ。如何せん 彼女との記憶も薄いから仕方もないことである。想いを告げられてからは意識もなく行動を監視するようになったが、これまでの彼女と関わった思い出は見当たらない。やはり彼女とはほとんど関係がなかったのだ。 「好き」と言われその数秒後か数十秒後か知らないが、私の口から出た言葉は「保留?」と最後に疑問系までついた曖昧なもの。彼女もすぐに答が貰えるとは思っていなかったのだろう、少々哀しそうに、けれど反面少々嬉しそうに、はにかんで「うん」と答えた。 ーーー何で私なんか。
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