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男は闇の中、夕方から降り続く雨で灯が消えぬ様にだけ気を配り、
普段なら1人では夜に決して使わない細いぬかるんだ一本道を歩いていた。
山を抜ければ家がある、遠回りをせずとも帰る事が出来るからである。
しかし、仲間と店で威勢良く別れた時から酔いが醒め始めていたのかも知れない。
山に入ってまもなく木々が自分の身を狙っているのではといった感覚に陥った。
傘に当たる雨音と草木が揺れる、音雨水が流れる音、フクロウなのか鳥の鳴き声も聞こえていた。
しばらくして、ふとした瞬間、何か鼻に違和感を感じた。
血の臭いだ。
男は足を止め周辺を見渡した。
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