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始まりの日
―――日本
広がる光景はなんら変わりない、いつもの日常。
高いビルが立ち並び、歩行者天国の街の中心。
忙しなく歩く人。
友達と話、笑い、楽しむ人。
仕事に勤しむ者。
様々な人々がそれぞれの日常を過ごしている。
―――ドンッ!!
人々が大勢いる歩行者天国の中心に何かが落ちる激しい音がし、それは突然街中に現れた。
何もなかった場所に徐々に実体を現したそれは、2M以上の巨体で、SF映画でよくみるような機械仕掛けのスーツに身を包んでいた。
「なんだよあれ…」
数人が同じような言葉をもらした。
そして、徐々に周りもざわつき始める。
「なんかの撮影?」
「コスプレとか?」
それぞれの思考を張り巡らし、それを観察する。
それもまた、人々と同じように周りを観察する。
そして、両腕を左右へ伸ばし、両手を人々へと向けた。
その瞬間、一人の人間が糸がきれた操り人形のように地面に倒れる。
そして、連鎖するようそれの周りに数mにいた人間が次々と倒れていく。
「おい!どうした!?大丈夫か!?」
倒れた人に声をかけ始める者、しかし、その声をかけた者も同じように地面へと倒れた。
そこにいた全ての人々は何が起こったかわからなかった。
そして、両手を広げたそれが動いた。
まるで無いものかのように…倒れた人間を踏み潰しながら。
骨の砕ける音と、”ぐちゃっ”という不快な音が響き、踏まれた顔が潰れ、その瞬間、周りの人間から悲鳴があがる。
「きゃぁぁあ!!」
その悲鳴と共に恐怖が連鎖し、街は一瞬にしてパニックと化した。
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