始まりの日

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――――しばらく走り後ろを振り向く。 どうやら追ってきてはいないようだ。 全速力で走った為、息がきれる。裏路地にはいった一真は休むためにその場に座りこんだ。 「はぁはぁ…一体何なんだよあいつらは…」 あれが一体なんなのか…何故自分は無事なのか…わからないことが多すぎる。 一真がふと裏路地の先に目をやると同じようにしゃがみこんでいる人影がみえた。 「…あいつら…じゃないな…逃げ延びた人間か…?」 一真はゆっくりと、警戒しつつ座り込んでいる人へと近づいた。 体操座りをし、顔を膝の間に埋めている為顔は確認できないが、服装等の外見からして女の子ようだ。 「大丈夫か?」 怯えているかもしれないので一真優しく声をかけた。 「!?」 その言葉に驚いたのか体が一瞬ビクッと動いた。 驚かせてしまった…悪いことしたな…。 「驚かせてごめん…こんなところに座り込んでいたから心配で声をかけたんだ」 一真は再度優しく声をかけた。 「…あ…はい…大丈夫です」 女の子はそう言いながら震えていた。 無理もない…彼女もきっとあの場にいてあの光景をみてしまったんだ…。 「君も奴から逃げてきたの?」 「…はい…あいつ…あいつは一体なんなんですか!?」 急に声を荒げる女の子。 「お…落ち着いて、…俺にもわからない…わかるやつがいたら教えてほしいくらいだ…」 「すみません…そうですよね、私パニックになっちゃって…」 「ううん、いいんだ。あれをみてどうかならないほうがオカシイよ…」 ―――少しの沈黙が流れたが、一真が優しく話しかけた為か、女の子は少し落ち着いた様子だった。 「あの…」 今度は女の子が自分から話しかけてきた。 「ん?」 「お名前はなんていうんですか?」 「澤井一真だよ。君はなんていうの?」 「私は水口小百合(ミズグチサユリ)。一真さん…ありがとうございました。私…不安で仕方なかったんです…デパートでいきなりあんなことがあったから…」
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