風来坊の舞曲

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 いつもと変わりのない朝が監獄島にあった。  天候も良い。  監獄島第一等星警備警察隊事務所の仕事部屋にも朝日は射す。  ソファに寝ていたその隊の隊長は、心地良さに寝返りを打ち、床に落ちてもまだ寝ていた。  仕事部屋にやってきた部下一同は、そんな彼を見下ろした。  彼の乱れた黄髪が太陽の光に僅かに輝く。  彼は部下の気配にのろのろ起き上がり、欠伸を噛み締めた。そうして挨拶をするでもなく、仕事部屋で一夜を明かした理由を語るわけでもなく、部屋を出ていってしまった。  部下達も特にそれを咎めることをしない。まるで、日常のそれであるように振る舞う。  仕事部屋には五人の部下が残った。五人の内一番年下のアスカは、机の下から取り出した鞄を手に部屋を出ていく。アスカは学校へ行ったのだ。 「いってらっしゃい。アスカさん」  円眼鏡を掛け直したスピカは、アスカを見送る。 「間に合うと良いんですけがね」  時間は、朝の七時半。窓際より二つ手前の席に腰を下ろしたアクスが言う。 「走れば間に合うよ」  コアリスが、ロッカーの軍服を羽織り、バンダナを引き締めた。 「近道もありますからな。間に合うでしょう」  話に割って入ったのは年長のヒルだ。あだ名を御隠居で通る。
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