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歪な戦車から撃ち出された数発の砲弾は、トシヒロの真ん中のシールドを粉々に砕いた。
トシヒロの手札に、それが加えられる。シールド・トリガーではない。
この状況をいくらかでもよくするためにシールド・トリガーを引きたかったトシヒロだが、そうそううまくはいかない。
「ここで、俺はターンエンドだ!!」
グレイ1は、余裕の表情でエンド宣言をする。
「俺のターン、ドロー!」
トシヒロはカードを引いた。
マナに今引いた『黒神龍オドル・ニードル』をマナゾーンに置いた。
「なあ、グレイ1」
トシヒロは、目の前の敵に話しかけた。
その様子を不思議に思ったグレイ1だが、すぐに余裕の表情に戻りそれに答える。
「どうした?敵に話しかけるとはどういうことだ?……投了でもするか?」
カードゲームでは自分の敗北が決まった時、将棋やチェスにおける「詰み」の状態になった場合、自分の負けを認め勝負を終わらせることが出来る。
それを投了(サレンダー)という。
「俺は本当に勝てない状況でも投了はしない主義だ。」
投了して負けを認めて逃げるくらいなら、正々堂々とシールドを全て破られ、トドメをさされた方がいい。シールドがあるならまだ、逆転のチャンスは手中にあるから。
「グレイ1、お前は、俺が勝てないと思ってるな?自分は、全てを捨てて戦ってるから、負けないって。そう勝手に、思い込んでいるッ!!」
グレイ1は、そのトシヒロの言葉を聞いて悟った。
トシヒロは、まだ諦めていない。そして、トシヒロが諦められない理由は、あの手札の中に……
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