第三話 欠番の存在

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「なあ、グレイ1」 トシヒロは、もう一度グレイ1に話しかけた。 グレイ1は、内心焦り始めていた。何も言われてない。まだ、何もトシヒロに言われていない。しかし、次の言葉は絶望的で、非情な言葉が待ってるのではないか。何故かそう考えてしまう。 圧倒的に優勢なのは、自分なのに。 「この状況で、お前は余裕を見せた。その余裕が、お前の判断を鈍らせたッ!!」 次の瞬間、グレイ1のレッドライダーズとカイマンが灼熱のマグマで身を焼かれた。灰すら残さず焼き尽くされる様は、龍の逆鱗に触れた愚かな人間のようだった。 トシヒロのバトルゾーン、草1本生えない暑い火山の大地が、割れる。 そこからマグマが天高く、雲を突き抜け成層圏すら突破する勢いで吹き出した。 マグマの中に、鋭く、力強く光るものがある。それは、怒れる竜の瞳。 竜が翼を広げた。瞬間、マグマの柱は弾け飛び、オレンジ色の宝石を散りばめたように戦場を彩る。 マグマの柱を砕いて現れたのは、赤く、勇敢で獰猛な、1匹の龍の戦士。 「『ボルシャック・スーパーヒーロー』ッ!!」 その龍は、吼えた。 片目を失ってなお、傷付いてもなお。雄々しく吼えるその龍は、正に戦士。歴戦の英雄。
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