第三話 欠番の存在

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グレイ1は、カードを引いた。 この状況を変え、もう一度こちらが有利になる為に。どんなに醜くもがいても、勝利を。自分の信じるものの為に。 グレイ1は、引いたカードを見る。 自然と、笑みがこぼれた。 「まさか、こんな所で引くとはな!」 グレイ1は、今引いたカードをコストを支払わずにバトルゾーンに出す。 グレイ1のバトルゾーンに、炎の扉が現れる。扉は以前からそこにあったかのように、悠然と彼のバトルゾーンに存在している。 「開け、焔極門よ!龍を超えし龍の戦士を誘え!」 グレイ1は右手を天高く掲げ、叫ぶ。 その瞬間、炎の扉『焔極門』はその扉の向こうにいる「何か」の攻撃で破壊された。 ドゴォォォン!という爆発音と共に、破壊された扉から、何者かが歩く音が聞こえる。 ジャキ、ジャキ、ジャキ。この音は、甲冑が擦れる音か、それとも…… 「顕れろ!幾多の戦場を駆け、幾多の要塞を焼き払い、数多の敵兵の命を奪い、命の源ごと消し去りし究極の兵士ッ!!ブランクカード『爆熱兵ドラグ・クリムゾン』ッ!!」 壊れた門から、全身が装甲で武装された龍が。いや、龍ではない。 確かに、顔は龍のような雄々しい顔だ。しかし、二本足で立ち、両手に武器を持つその姿は、竜人……『ドラゴノイド』か。 紅の鱗に、銀色に輝く装甲で胸部、肩、腰、足を保護されている。 背中にコンテナを背負っており、そのコンテナには竜人の身長ほどもある巨大な剣が左側にマウントされていた。 両手にアサルトライフルを装備したドラゴノイドは、門を出た途端にアサルトライフルを構え、辺り一面に弾をばらまいた。
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