第三話 欠番の存在

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撃ち出された弾丸は赤く染まった大地を抉り、敵味方関係なく降り注いだ。 ディオライオスはその弾丸を一発、ボディに受けると爆散した。一発一発が必殺の威力を持つ弾丸だ。その弾丸が、無情にディオライオスの残骸に降り注ぎ、それを鉄くずに変えた。 トシヒロのバトルゾーンに降り注いだ弾丸は柳生・ドラゴンを襲った。 柳生・ドラゴンの胸、心臓を一撃で射抜き、甲冑の龍は後頭部から後ろに倒れた。 ボルシャック・スーパーヒーローはそれが放たれる前に空中に飛び上がっていて、その弾丸を避けることが出来たのだ。 「何を……した!?」 トシヒロは、理解出来なかった。 『爆熱兵ドラグ・クリムゾン』が、どんな効果を持っているかを、だ。何故、自分の柳生・ドラゴンと相手のディオライオスが破壊されたか。何故、コストを支払わずに『ブランクカード』を出せたのか。 いや、一番理解出来ないのは、このカードが出す「プレッシャー」というものだろうか。 まるで、そのカードの姿を見ているだけで、心臓が握られているかのような不安に駆られる。 何もかも、非常識だ。 「何をしたか、だと?今から負ける相手にゆっくり教える馬鹿がいるか?」 グレイ1が、引き裂けんばかりに口を歪ませ、嘲笑う。 『ブランクカード』を使った、それだけ分かれば十分だ。グレイ1は、トシヒロを見下した目で見てそう言った。 「プレイヤーグレイ1、『爆熱兵ドラグ・クリムゾン』の待機効果があります。すべての効果を解決してください。」 電子音声が、また聞こえた。 今まではずっとデュエルに夢中になっていたから聞こえなかったが、こうやってデュエル中に起こった出来事をすべてナレーションしていたのか。 いや、それよりも前に。 『爆熱兵ドラグ・クリムゾン』の効果は、まだあるのか。 「まあ、そう急かすな。『爆熱兵ドラグ・クリムゾン』の効果、発動だ!!」
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