67人が本棚に入れています
本棚に追加
いや、トシヒロは、それら全ての音を聞いてなかった。
いつの間にか目を瞑り、深く、深く。状況を打開する策を考えていた。
マグマの流れる音、火山が爆発する音、止まらない電子音声、グレイ1の言葉。それらノイズを取り除き、考えた。
『──俺を、使え。』
頭の中に、声が聞こえる。
幻聴か。そう思った。
しかし、まだ聞こえるのだ。
男の声が。いや、違う。
『────俺を、使え。』
これは、もしや、『ブランクカード』の声か。いや、そんな筈はない。カードが喋るなど、そんなのはただのオカルトで……
『──────俺を、使え!!』
ただのオカルト?なら、「カードを信用していれば必ず答えてくれる」とか、「カードも一緒に戦っている」とか。そんな根拠も何もないものだって、十分にオカルトだ。
それこそ誰かが考えた、都合のいいオカルトだ。
そんな、『オカルト』を信用している自分が、この程度の『オカルト』を信用出来ないでどうする。
カードが好きでカードを集めて、カードが好きでデッキ作って戦って。カードが好きだから大会にも出たし強敵と戦えたし強くなった。カードショップだって開いた。
そうしてたから、デッキが答えてくれた。
そうしたからきっと、カードの声が聞こえた。
ここで自分が、カードに答えなくてどうする!!
トシヒロは、目を開けた。
「分かった、信じる!」
最初のコメントを投稿しよう!