第三話 欠番の存在

31/41
前へ
/213ページ
次へ
いや、トシヒロは、それら全ての音を聞いてなかった。 いつの間にか目を瞑り、深く、深く。状況を打開する策を考えていた。 マグマの流れる音、火山が爆発する音、止まらない電子音声、グレイ1の言葉。それらノイズを取り除き、考えた。 『──俺を、使え。』 頭の中に、声が聞こえる。 幻聴か。そう思った。 しかし、まだ聞こえるのだ。 男の声が。いや、違う。 『────俺を、使え。』 これは、もしや、『ブランクカード』の声か。いや、そんな筈はない。カードが喋るなど、そんなのはただのオカルトで…… 『──────俺を、使え!!』 ただのオカルト?なら、「カードを信用していれば必ず答えてくれる」とか、「カードも一緒に戦っている」とか。そんな根拠も何もないものだって、十分にオカルトだ。 それこそ誰かが考えた、都合のいいオカルトだ。 そんな、『オカルト』を信用している自分が、この程度の『オカルト』を信用出来ないでどうする。 カードが好きでカードを集めて、カードが好きでデッキ作って戦って。カードが好きだから大会にも出たし強敵と戦えたし強くなった。カードショップだって開いた。 そうしてたから、デッキが答えてくれた。 そうしたからきっと、カードの声が聞こえた。 ここで自分が、カードに答えなくてどうする!! トシヒロは、目を開けた。 「分かった、信じる!」
/213ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加