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トシヒロは、マナから墓地にカードを置いた。
火文明単体のカード1枚と、『ボルメテウス・カオス・クリムゾン』を。
「『ブランクカード』を墓地に落としただと?」
グレイ1は怪訝そうな顔で、対戦相手であるトシヒロを見た。
マナに『ブランクカード』があれば、まだ回収する手段はある。しかし、墓地に落とせば、トシヒロのデッキでは回収が困難になる筈だ。
ただでさえ、マナゾーンに落ちるだけで使い物にならなくなるのに。
「そうか、貴様のデッキにはマナゾーンからも回収する術がないのか!!ならば、『ブランクカード』は必要ないよなぁ!!フハハハハッ!!」
グレイ1が、笑う。
勝利を確信した、勝者の笑み。
だが、その笑いは一瞬で凍りついた。
トシヒロのバトルゾーンに、光が差し込んでいた。
火山灰が空を覆い、太陽光が届かないはずの大地。その大地に、青空が見えた。
光は無数の矢となり、トシヒロの目の前の大地に降り注ぐ。
今度はその大地が、黒く深い闇の色に染まった。
「何だ、何なんだ、これはッ!!」
「これから負ける相手に、わざわざ丁寧に教える奴がいるか?」
トシヒロの言葉は、グレイ1の心臓を射抜くような鋭さを持っていた。
トシヒロに言い放った台詞を、そのまま返された。
やがて、トシヒロのバトルゾーンに1体の龍が現れた。
天から降りてきたのか、闇から這い出てきたのか。それすら分からないし、そのどちらにも思えた。
もしかしたら、既にそこにいたのかも知れない。
右に純白の天使の翼、左に黒いコウモリのような悪魔の翼、その持ち主は4本の強靭な足で大地を踏みしめるドラゴンだ。
すべてが矛盾に満ちていて。
それでいて、そのすべてが共存している。
それが……
「『ボルメテウス・カオス・クリムゾン』ッ!!」
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