第三話 欠番の存在

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混沌の龍が、吼える。 大地が裂け、そこからマグマが思いっきり吹き出す。 グレイ1の周りの空気が凍りついた。 手足が凍てつき、ガクガクに震える。 何が起こってるのか。分からない。 いや、理解出来ないのか。 『それ』の雄叫びは、自分に深い深い恐怖を与える。闇より深い恐怖を。 その恐怖が、脳髄まで染み込み人の思考を鈍らせ、周りの空気までも変わったように錯覚させる。 そう思うことが出来たのは、『それ』が雄叫びをあげて5分後だった。 「プレイヤーグレイ1、アクティブ・プレイヤーは貴方です。ターンを……」 電子音声が聞こえる。しかし、うまく思考出来ない。理解出来ない。 そういえば手札のカードはもう使えなかったな、なら…… 「ターン、エンドだ……」 グレイ1はか細い声で宣言した。 ターンはそのままトシヒロに移る。 「グレイ1、お前を…… 」 トシヒロがカードを引く。 しかし、もうこれに意味はない。 カードを持った右手をグレイ1に向け、そのままトシヒロは言葉を紡ぐ。 「討ち貫くッ!!」
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