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「ご丁寧に逃走手段まで用意してたのか。」
「まあ、逃走手段も無くけしかけてくるような奴はいないわよね。深追いはしないってことじゃない?」
それよりも、ミツキはトシヒロに話を振る。
「この状況、誰に説明して貰えばいいのかしら?」
それはその通りだ。
いきなり見知らぬ人間が『ブランクカード』を奪いに来て、いきなり別の空間に行って、アニメか漫画のようなデュエルをして。
ミツキはそれを見てるだけだから、トシヒロよりも不思議に思ってることは沢山あるはずだ。
第一、当の本人のトシヒロすら疑問が解決しない。
この事態を引き起こした張本人、いや、他人(じぶん)を巻き込んだ犯人の心当たりがトシヒロにはあった。
「『レイニー』。あいつしかいない。」
『ブランクカード』と謎の機械を渡され、いつも知らぬ間に去っていき、いつも嘘臭い笑みを浮かべている、レイニー。
その彼が、この出来事を仕込んだ。
すべて、とは言えない。しかし、彼は絶対に関与している。それは明らかだ。
「そうね。あいつは、絶対何か知ってる。」
ミツキもその意見には同意のようだ。
次に奴に会ったら、逃がさない。絶対にすべて吐かせる。『ブランクカード』とは、何か。何故、『ブランクカード』を賭けて戦う必要があるのか。そして……レイニー。彼の目的は、何なのか。
そう決意した所で、謎の機械から電子音声が聞こえた。
「『レイニー』管理官が、音声通話を求めています。繰り返します、『レイニー』管理官が、……」
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