第三話 欠番の存在

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グレイ1襲撃の数十分後、廃墟と化した工場の一角に彼らは姿を表した。 何の工場かは分からないが、ベルトコンベアのような機械がそのまま放置されている。 彼らは空いたスペースにボロボロになり色褪せたソファを持ち込み、自らの根城としていた。 薄暗い工場内に、人影が3つ。 小さな人影は退屈そうに腕を組みソファに座り、その両脇に2つの人影が立っていた。 「グレイ1が失敗したようですね。」 真ん中の小さい人影が口を開く。 鈴のように綺麗で、それでいて冷たい声だ。 声の主は、ピンク色のショートヘアーの少女。この街の中学校の制服を膝上5センチほどのミニスカートにして着こなしている。 「『クイーンマム』、グレイ1の処分はどうするのですか?」 左に立っていた女性が、少女……クイーンマムに聞いた。 「彼はブランクカードを奪われたのです。それ相応の罰を与えなければなりません。」 今度は、右側の男が口を開く。 クイーンマムは、そのどちらも見ない。ずっと前を向いたまま、不敵に微笑むだけだ。 「そうですね……グレイ1は、中尉から少尉に格下げです。」 クイーンマムの言葉に、2人の男女は驚いた。 こんな程度で終わるのか。不服そうな顔をしている。 「奴はブランクカードを奪いにいき、返り討ちにあったのですよ!これ以上奴を『組織』に置いておくなど……」 男は語る。奴は使えない。必要ない、と。 しかし、クイーンマムはそれを一言で斬り捨てる。 「黙りなさい。」 その双眸は、少女のものではなく。まるで王のような威圧感がある。 黙った男の様子を見て、女王は続ける。
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