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「彼は使命の為なら、自らの命すら投げ出せる人です。捨てるのはまだ早いでしょう?」
「しかし……!!」
今度は女が反論する。
クイーンマムはまたしても聞かずに続けた。
「あなたたちに、その覚悟があるかしら?自らを犠牲にしてまで勝つ、罵られても見下されても無様に這いつくばってでも勝とうとする意志が、あるかしら?」
グレイ1という男は、そういう男です。
そこまでクイーンマムは言い、口を閉じた。
2人も何も言い返せず、ただ黙るのみ。
沈黙。
いくら時間が経ったろうか。
バイクに乗った男たちが、この工場に進入してくる。
「『マッドドッグ1』、『グレイ1』。ご苦労様です。」
マッドドッグ1と呼ばれたバイクに乗った男は、グレイ1を降ろすとそのまま反転、エンジンをふかし工場から走り去った。
「クイーン。申し訳ありません、奇襲に失敗してしまいました。貴女から頂いたブランクカードは、あの龍使いに奪われてしまいました。」
グレイ1は少女の前に跪き、報告する。
クイーンマムは立ち上がり、目の前に跪いている男を優しい目で見下ろす。
「心配することはありません。しかし、貴方のしたことは取り返しのつかないことです。」
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