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「もう、やめよう。無理だよ。互いに仕事がある。続けても寂しくなるだけだよ」
「………『大好き』でも別れなきゃいけないのか?離れられるか?」
「離れられるか、じゃない。離れなきゃいけないんだ」
「………」
「………」
「…俺は―――………」
竜海は口を閉じた。
下を向いたまま、静かに時間が過ぎる。
「明日も、朝はやいだろ?」
逃げるように俺は、この言葉を選んだ。
すると、竜海は顔を上げた。
顔を上げ、俺を真っ直ぐ見ながら、涙を流した。
「好きだ」
俺も、好きだ。
でも…。
「愛してる」
手を痛いほど、握られた。
まるで、強い想いを俺に伝えるように手を握る。
「愛してる」
愛の言葉を繰り返す。
俺は、次の言葉が出なかった。
ただ、静かに涙を流しながら、頷いた。
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