第10章

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土曜日の稽古。 朝から森本は体調が優れないようだった。 幸が心配して声を掛ける。 「亜矢ちゃん、大丈夫?辛いんだったら、今日は帰っちゃっていいんだからね。」 幸の忠告も頑として受け入れようとしない森本。 「私が帰ると、久保田さんがお稽古できなくなっちゃうし。 お稽古の合間に横になって休んでおくから大丈夫だよ。」 そう強がる森本の顔色は明らかに悪い。 んー、と腕を組みながら唸る幸に、森本は無理して笑顔を作ると、皆に心配かけまいと、稽古場を出ていく。 花火を見に行ったあの日。 逆上せた、と言っていたが、ひょっとするとあの時から、あまり体調が良くなかったのかも知れない。 俺もその後を追って稽古場を出た。 .
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