475人が本棚に入れています
本棚に追加
帰りのエレベーターは、俺達以外誰もおらず貸切だった。
この展望台のエレベーターは外の景色が見えるシースルータイプだ。
行きは急いでいたので、ゆっくり見る間がなかったが、今は二人だけで景色を堪能できる。
外の景色を眺めながら、急に森本が黙り込んだので、怪訝に思うと、その後ろ姿は僅かに緊張していた。
……二人きりのエレベーターなんて、定番過ぎるよな。
そう思いながらも、そっと森本の背後に近付く。
彼女が、全身で俺の動向を窺っているのが解り、吹き出しそうになるのを必死で堪える。
バッと彼女を囲うように、エレベーターのガラスに手を付くと、森本が可哀想な位にビクッと反応した。
.
最初のコメントを投稿しよう!