第9章

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帰りのエレベーターは、俺達以外誰もおらず貸切だった。 この展望台のエレベーターは外の景色が見えるシースルータイプだ。 行きは急いでいたので、ゆっくり見る間がなかったが、今は二人だけで景色を堪能できる。 外の景色を眺めながら、急に森本が黙り込んだので、怪訝に思うと、その後ろ姿は僅かに緊張していた。 ……二人きりのエレベーターなんて、定番過ぎるよな。 そう思いながらも、そっと森本の背後に近付く。 彼女が、全身で俺の動向を窺っているのが解り、吹き出しそうになるのを必死で堪える。 バッと彼女を囲うように、エレベーターのガラスに手を付くと、森本が可哀想な位にビクッと反応した。 .
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