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森本が安堵の表情を浮かべたことが、俺の心に火をつけた。
エレベーターの扉は音もなく静かに開く。
背中に人の気配を感じないので、乗り込んでくる客はいないようだ。
相変わらず囲ったままでいる俺の手を、森本は何とか払いのけようとする。
その暴れる手を片手でまとめ上げると、俺は空いた手を伸ばし、エレベーターの閉ボタンを押した。
「あっ！」
森本は小さく声を上げたが、エレベーターはまた音もなく扉が閉まり、小さな箱はゆっくりと上昇を始める。
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