第9章

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彼女が照れながら、またボソッと呟く。 「……いいよ。見せてあげても。」 「えっ?!」 「今日、楽しかったから。」 彼女の言葉に耳を疑う。 聞き間違いかと思い、森本を見つめるが、彼女はチラッと目を合わせると微笑んだ。 身体の芯がジワリと熱を帯びる。 「……楽しかったのは、花火?それとも、二人で一緒に居た時間?」 「……。」 黙り込んだ森本は問い掛けに答えようとはしない。 俺は彼女との距離を詰めて、顔を覗き込む。 どんな些細な表情も見逃したくはなかった。 「……さっきのエレベーターでの出来事も含めて?」 「……。」 森本に聞きたいことが山程ある。 一緒に居たいと言った真意。 さっきのキスを拒まなかった理由。 俺のことをどう思っているのか……。 なぁ、俺達の距離は少しずつでも、近付いてるのか? 結局、溢れ出す想いが強すぎて何も言えず、きつく彼女を抱き締めた。 .
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