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彼女が照れながら、またボソッと呟く。
「……いいよ。見せてあげても。」
「えっ?!」
「今日、楽しかったから。」
彼女の言葉に耳を疑う。
聞き間違いかと思い、森本を見つめるが、彼女はチラッと目を合わせると微笑んだ。
身体の芯がジワリと熱を帯びる。
「……楽しかったのは、花火?それとも、二人で一緒に居た時間?」
「……。」
黙り込んだ森本は問い掛けに答えようとはしない。
俺は彼女との距離を詰めて、顔を覗き込む。
どんな些細な表情も見逃したくはなかった。
「……さっきのエレベーターでの出来事も含めて?」
「……。」
森本に聞きたいことが山程ある。
一緒に居たいと言った真意。
さっきのキスを拒まなかった理由。
俺のことをどう思っているのか……。
なぁ、俺達の距離は少しずつでも、近付いてるのか?
結局、溢れ出す想いが強すぎて何も言えず、きつく彼女を抱き締めた。
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