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 こうなった以上、周りに助力を求めることになるのだが、彼のプライドがそれを許さない。 そして、これが最後で最大の理由である。 本当にどうにもならないのなら、ヒトに努力の仕方なり何なり教えてもらえばいいのに、彼にはそれが出来ない。 それもその筈、彼が今まで散々見下してきた奴らに助けを乞うなんて、彼に取っては「死ぬ方がマシ」なのだ。  大体、例え助けを乞うても、高飛車で人を見下す態度を取る彼に、誰が素直に手を差し出すのか。 彼の態度は周りを不快にする。彼は学校でも、バイト先でも、たいていの人々から嫌われていた。 昔と違い、周囲の異性も単純に見かけが良さだけでは靡いてこない。 いや、一時は心奪われたとしても、彼の人格破綻ぶりをみたら、たちまち恋心は冷めてしまう。 愛してその醜を忘るなんてことは決して起こり得ない。
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