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25歳ともなると友人は次々と結婚していき、先日、一番親しい友人である亜季も結婚した。結婚の話を聞かされたのは、ついこの間のことであまりにも突然だったので私はとても驚いた。
私にだって好きな人はいる。大好きな人なのかと聞かれたら、頷くこともできる。プロポーズされたら結婚してしまうかもしれない。だが、こんな気持ちのまま彼と結婚してはいけない気がする。
そんなことを、ふと考えていると私が乗っていたバスはいつの間にか私が降りるバス停までついていた。バスを降りて辺りを見渡す。私はいるはずもないあなたを心のどこかでいつも探している。
あなたは今どこにいますか?
私と亜季が待ち合わせしていた場所はバス停からすぐのところで、まだ亜季は来ていなかった。
ベンチに座り、空を見上げる。5月の空が広がっていた。目を閉じると風が気持ち良かった。
「律架!」私を呼ぶ声が聞こえる。目を開くと私の視界いっぱいに亜季の顔が映った。
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