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「話があるの。」
亜季は一度、目をつぶると真っ直ぐに私を見た。
「ねぇ律架。彩乃さんのこと覚えてるよね?律架にとっては辛い過去なのに思い出させてごめん。」
「…覚えてるよ。雅哉の義妹だもん。」
この話題は亜季にとっても辛いはずだ。彩乃さんは亜季の以前付き合っていた和貴(カズキ)の幼なじみであり現在その二人は結婚している。
「この前たまたま彩乃さんに会ったの。『律架ちゃんを探してる人がいるから連絡してほしい。』って。澤村創(サワムラハジメ)さんって人なんだけど、律架、きっと前に会ったことあるよね。雅哉さんの一番親しい同僚って言ってたから…。私からは何も言えない。でも、会ってあげてほしいの。」
「なんで?なんで今更…なんでよ…」
涙が次々と溢れてくる。
「律架…ごめんね…。」
亜季まで泣いてる。亜季は優しくてかっこよくて私の心の中の密かなヒーローだ。
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