セカンドバージン

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『俺の部屋で飲み直さないか?』 2泊3日の出張先で、上司の『秋山 司』にそう誘われた。 1日目の商談が上手くいき、いつもは鬼の様に怖い主任もちょっと機嫌が良くて。 「奢るから」と、初めて2人で食事をした。 普段なら絶対に聞けない様な、好きな音楽の話とか、近所のパン屋さんの話とか、主任のそんなプライベートな事聞いちゃったら、そりゃ浮かれてお酒も進んじゃうよね。 だから、あれは正常な状態で判断なんかできて無かったんだと思うの。 でもね、私は後悔なんかしてない。 するはずが無い。 だって、入社した時からずっと、私は主任が好きだったんだもん。 凄く怖いんだけど仕事熱心で、いざという時は頼りになるから周りの信頼も厚くて、それでいてかっこいいもんだから社内外問わずモテる主任。 逆に私はチビでメガネの冴えない女。 大学以降、彼氏無し。 どう考えたって、主任が私を選ぶはずがない。 だから次の日、 『忘れてくれないか』 って言われた時は、あぁやっぱりねって思ったの。
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