図書室と、いつもの当番

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「起立、礼。さよなら~。」 学級委員の号令ととも、今日も学校が終わった。 一部の生徒達は、部活へと準備をし教室を後にした。 そんな中、俺もカバンに必要な教科書等を全部入れ終わった。 「なぁ、春。今日ゲーセン行こうぜー。新作が入ったらしいからよ。」 席が近い『宏(ひろ)』が誘ってきた。 断髪で、女子から少し人気のあるやつだ。 「あー悪い、今週は図書当番なんだよ。」 「そんなのサボれよ~一日だけいいじゃねーか。」 「そういう訳にいかないんだよ、じゃあな。」 そう言いながら、俺はカバンを持って教室を出た。 俺が図書委員になった理由。 それは…パーを出したから。 図書委員を決めるのに、じゃんけんをしたのだ。 授業後に残って図書当番なんて…誰もが嫌だからだ。 部活に所属していない俺と他数人、その結果がこの有様だ。 「あの時グーを出していれば…。」 俺は自分の右手を見て、握ったり開いたりした。 授業後に月一回決まった週に図書室へ行く、それが今週だ。 本の整頓、貸し出し、返却の確認をして、五時になったら戸締りする…これが図書委員の仕事だ。
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