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ウルドとスクルドは、世界樹の根が作り出す複雑な迷路のような通路を進み、やがてひときわ巨大な根に辿り着いた。
「そなたは次元転移の下降は初めてだったね?」
ウルドは腰に着けた小瓶から綿帽子のような実を取り出し、スクルドに手渡した。
「少し気分が悪くなるやも知れぬ…それの香りがそなたを守ってくれる。」
「下降?もしやその先は!?」
「ワルキューレはそこに居る。」
「ええ!?お姉さまはそこに隠れて?」
ウルドは少し間を置いてからゆっくりと言った。
「上に気配は無いからね…下に好んで行くはずはない。」
「ではお姉さまは!?」
「そう、捕らわれているのだ。」
世界樹の根を通しての次元転移は一瞬で終る。
女神達は死者の国ニヴルヘイムの入口に流れる大河イヴィングの畔に降り立った。
…ふん、やはり
好んで来たくは無い処。
落ち着かない様子のスクルドの手を取り、ウルドは大河の彼方を見据えた。
「長居は無用、ヘルを見つけた。一気に飛ぶよ?」
女神達は舞い上がると、大河の先…氷の世界へ風のように進んだ。
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