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パタパタと世界樹の根元の広い宮殿に、かなり乱れた足音が響く。
「スクルド?何を慌てているのだ?」
入り乱れ絡まる世界樹の根に寝そべっていた女神が、足音の主を呼び止める。
「お姉さま!?お姉さまを探していましてよ?」
呼び止められたのは、背負わされた運命の重大さとは裏腹に、まだあどけなさが残る少女だった。
「わたしをか?つまり又、ラグナロクの事だな?」
お姉さまと呼ばれた女神…ウルドは、薄い笑みを浮かべながら答えた。
「そうですとも!今度のは早過ぎます!」
「ワルキューレめ、また適当に糸を切ったな?」
ウルドは高笑いした。
「しかし、何故わたしを?文句ならばワルキューレに…だぞ?」
スクルドは半ベソ状態でウルドに駆けよって半ば叫ぶように言った。
「ワルキューレ姉さまは、お得意の分身術でわたしから逃げておいでです!」
「なーる!それでわたしに手を貸せと?」
しかしウルドには、何かしら引っ掛かるものが脳裏を横切った。
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