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ウルドは微かにロキの"気"を感じ取った。
…ロキはあそこに紛れている。
ヴァルハラの神々は、滅多な事では人間界…ミッドガルドを訪れない。
それは人間界に留まる際に神々は"力"が必要であり、かなりのエネルギーを消費するからだ。
しかしロキは、その体に流れる血の恩恵で"力"を必要としない…冒険と称しミッドガルドで好き放題をしている。
…わたしを甘くみるなよ!
ウルドはスクルドを誘い、ノルンの泉に移動した。
「ウンディーネ?そこに居ろう?」
泉の水面が静かに揺れ、スルスルと沸き上がり人形(ひとがた)になった。
それは水そのものの透き通った身体に、銀色の髪を纏い、瞳の無い目は深海の青だった。
「ウルド様お久しゅうございます。」
「先のラグナロク以来だな。」
ウルドは泉の淵に腰を下ろし、穏やかな口調で続けた。
「昔話は次にしよう。」
ウルドの穏やかな口調はそこまでだった。
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