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だが、考えてみればシンプルな事である。
陸道への復讐。
自分を捨てた者への復讐の為に、あれだけの事件を引き起こし、拘置所から陸道を引きずり出し殺害する。
どう考えても異常である。
あれだけの事件を引き起こすのだから、沙菜一人では無く集団としての思惑もあるだろう。
だが、沙菜の復讐心と集団の利害が一致すれば、思惑などと考える必要も無い。
結局、話しはその辺りの話題から始まった。
復讐の為の殺害。
陸道と沙菜の関係に、愛情があったのかは分からない。だが、少なからず沙菜の方にあったなら、この話しは成立するのだ。
「陸道と沙菜。歳の差は、三十以上あるけどね」
「でも、真理さん。その位の歳の差がある夫婦もいますから、頭ごなしに否定は出来ませんよ」
「でも、自分の親以上よねぇ」
「あっ、もしかして沙菜は、陸道の中に父親を見たんじゃないですか」
大沢は、興奮気味に言った。
沙菜は、物心つく前から父親が存在していない。幼少期、思春期と父親がいない時期を過ごしている。
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