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「そして、敵が逃げ出すって事に関しては、多岐川 沙菜の逃走経路を指しているのかもしれない」
「大沢くん、それって……」
「どう思います? 真理さん」
「つまり、多岐川 沙菜は水路を使って、葛西臨海公園から逃走したって事になるわね」
多岐川 沙菜の姿は、確かに事件当日に葛西臨海公園で確認されている。
それは、間違いない。
だが、沙菜は銃殺事件の十数分前に、ニセ陸道と付き添いの婦警に接触後、その足取りは掴めていない。
車。
都バス。
水上バス。
徒歩。
JR京葉線。
東京メトロ東西線。
そして、海岸等から船舶を利用する事。
現場からの離脱方法は、これだけ豊富にある。警察組織の力を持ってすれば、多岐川 沙菜の足取りを追う事は可能だ。
だが対策室には、そこまで警察組織を動かす権限は無い。
拉致されたニセ陸道の捜査員の足取りは、すべてのルートで捜査本部が確認し、どれにもヒットしなかった。
もしも沙菜の逃走経路を絞れるならば、対策室の権限でも足取りは追える。
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