♯12 暗躍

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  「そして、敵が逃げ出すって事に関しては、多岐川 沙菜の逃走経路を指しているのかもしれない」 「大沢くん、それって……」 「どう思います? 真理さん」 「つまり、多岐川 沙菜は水路を使って、葛西臨海公園から逃走したって事になるわね」  多岐川 沙菜の姿は、確かに事件当日に葛西臨海公園で確認されている。  それは、間違いない。  だが、沙菜は銃殺事件の十数分前に、ニセ陸道と付き添いの婦警に接触後、その足取りは掴めていない。  車。  都バス。  水上バス。  徒歩。  JR京葉線。  東京メトロ東西線。  そして、海岸等から船舶を利用する事。  現場からの離脱方法は、これだけ豊富にある。警察組織の力を持ってすれば、多岐川 沙菜の足取りを追う事は可能だ。  だが対策室には、そこまで警察組織を動かす権限は無い。  拉致されたニセ陸道の捜査員の足取りは、すべてのルートで捜査本部が確認し、どれにもヒットしなかった。  もしも沙菜の逃走経路を絞れるならば、対策室の権限でも足取りは追える。
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