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「たまにね、」
彼女は大木を見上げながら言った。
「こうして登っては、あんたのこと、考えてるの。」
「今、何してるかな、とか。」
「昔の、こととか。」
『寂しい』という彼女の本心が
垣間見え、
俺は うん、と曖昧に言葉を返した。
今、彼女を寂しくさせているのは紛れもなく俺だ。
週末には毎週電話をしているし、毎日メールもしている。
でも、会わなきゃ分からないことだってたくさんある。
実際俺は3年もこっちに帰らなかったし、
呆れられて嫌われても当然なのに
いつも優しい彼女に甘えっぱなしで、
彼女がそんな風に思っていることなんて気がつかなかった。
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