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「…なのにあいつ、妙なところがバカで、真っ直ぐで…いつも、俺に全力でぶつかってくるんだよ。俺はいつもそれから逃げてたんだけどな」
過去を語る晃人の顔は、穏やかで、それがキッチリ思い出になっていることがわかる。
「…そういうとこ、好きだったんだ」
「まあな。…けど、その真っ直ぐさはちょっと俺には辛かったけどな。で、とうとうある日、あいつの熱意?みたいなのに、俺が折れたわけだよ。いやー、今思い出しても青春だわ。夏終わりの、放課後のプールサイドで二人っきりになっちまって」
「ははっ、ドラマかよ」
「だよな、俺も思うわ。で、俺が逃げないように、ずっと腕掴まれててさ、お前が俺を嫌いでも俺はお前が好きなんだって…言われたわけですよ。すげぇよな…俺にはぜってー出来ねえ芸当だったわ。ほんでまぁ…俺からしたら青天の霹靂?みたいな感じで…もうプチパニックだよ。こんな気持ち悪い想い、叶うはずないって思ってたから。」
…確かに、すごい。
なんの確証もなく、中学からの男友達に、そんな風に告れるなんて。なんだったら、避けられまくってて嫌われてるかもしれないって状況で。
そんだけ、晃人のことが好きだったつーことかな。
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