先生の過去

23/24
前へ
/541ページ
次へ
「へ、へえ…」 いや、そりゃそれなりに遊んでたんだろうなっていう想像はついてたけど…大人って怖い… 「やっぱり、引くよなぁ…自暴自棄になってた時もあって…」 と、どんどん声が小さくなっていく晃人。慌てて顔を見ると、目にはうっすら涙が溜まっている。 はあ!?なんだよ、それで泣く!?そんなに俺に引かれんのが怖かったのか!? 自暴自棄っていうのは、坂本さんのことか…な? 「大丈夫だって、そりゃ、多少は引いたけど、それだけじゃ嫌いになんねえって、な?好きだよ、ちゃんと。」 「ほんとに…?」 きゅっと、身体を縮こませて、ちらりと俺を見る晃人。その顔はまだ不安そうだ。 ちょっ、と、そんな潤んだ目で見るなよ!また俺の理性の危機が来ちゃうだろーが! 「ほんとだって。俺さ、こんな早く晃人と出会っててよかったよ。この先も晃人だけでいーし、なんか得した気分。」 「俺は…もっと早く出会いたかった。」 「ありがとう。でも、俺たちこんな出会い方だったからよかったんじゃねぇの?それに、時間とか、歳とか気にしたって仕方ねえし。そんなことより、今、隣にいるだけで俺は十分だ。晃人が過去に、どんな顔持ってようが、坂本さんに、どんな顔見せてようが、今とこれからは、全部俺のもんだから。」 .
/541ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4527人が本棚に入れています
本棚に追加