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幾重に死ねど、身体は蘇り精神を貪られる。
そうして地獄に心を食いつぶされた罪人の成れの果ては、苦しむことにすら怠惰になり、糸を切られた浄瑠璃人形よろしく地に伏すのだ。
己は、そういった罪人どもを踏み台にする事で針の責め苦を避けているわけだ。
辛かろう苦しかろう、だが己ほどの精神を持たぬ雑魚はおとなしく血達磨になればよい。
己は人々を踏みにじりながら地獄を歩き続けた。
幾度歩けど暗闇だらけのここに嫌気がさしてくる。
遠くであざ笑う鬼どもが羨ましい。
己も奴らのように高台で悦に入ってやりたいものだ。
「おうい、人間よ!」
累々を足蹴にする己を鬼が怒鳴りつける。
じゃが、己は足を止めぬ。
不死が約束される以上、鬼など地獄では単なる飾りだ。
忌々しい鬼どもめ、今にみておれ。
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