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風景を切り取ってしまうのは、 どうかと思った。 自分で思っておきながら、 なぜ、自らその行為を続けるのか、 答えの出ない悩みに悩みながら、 それでも撮り続けた。 そんな写真は、次で999枚。 同じ場所、同じ時間、 同じカメラ、同じ角度、 それなのに、 それなのに、一枚も、 あの写真は撮れなかった。 『……ピピッ、カシャ。』 999回目のシャッター音。 999回とも、おんなじ音だった。 全てが同じなのに、 どうして、たった1つ、 同じ写真だけが撮れないのか、 わかりきっているのに、 今日まで考え、悩み続けた。 家の窓から流れる線香の煙が、 風に誘われて鼻をくすぐる。 風に吹かれては消え、 また窓から漏れ出てくる――。 いつまでそれを眺めていたのか、 辺りは暗闇に変わり、 寺の鐘が聞こえ、家の電話が鳴った。
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