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「……珍しいのかな?」 ちょっと困った風に首を傾げて、わざわざ目線を合わせる様に彼は膝を折った。 首から提げてある紅く、美しい宝石の様なペンダントが揺れた。 気分を害してしまっただろうか。 そう思考しながらも、痛くない様に、緩い力で握る。絹を思わせる柔らかな手触り。恐らく、傷みすらしていない。 “綺麗だから”。と言葉にしたくて、けれど、声を持たぬ僕には無理な話。 それが酷くもどかしかった。 「綺麗? 私の髪がかい? 」 口には出していない、というか出せはしないのに、目の前の男は、そう言ってやたら嬉しそうに笑うから、こくりと頷けば益々嬉しげに笑って、ありがとうと言う。 やはりこの男は人ならざる者なのだろうか。 すると、男は大事な事を思い出した、と、ぽんっと手を打って。 「あぁ、自己紹介が遅れたね。私はね、シャルディア=ラヴェーリア。シャル、とでも呼んでくれたら良いよ。――――信じなくても良いけれど、君達の世界では神様と呼ばれる存在と言えば正しいかな。」 神、と言われて、その言葉を素直に受け入れる事が出来たのは、この非現実的な空間が在ったからだろう。彼そのものも人間離れしている要素が多々あるが、それだけの要素で、シャルディアを『神』と認識するには余りにも心許ない。 しかし、何故僕だけを呼んだのか。人間なんて一秒の内にバタバタ死んで行くものだし、それに照らし合わせれば、僕以外の人間がいても良いはずだ。 それとも、一人一人に先程の様にわざわざ挨拶や、自己紹介を始めるのだとしたら、何て効率の悪いやり方だろうか。 「あはは、うん。そのやり方は効率的とは言えないね。普段はこんな事しないんだけどね。――――今回はちょっと特殊でね。」 特別。という言葉に何故か不吉なものを覚えた。 「君はね、短いし、その上親に殺されるかたちでは有るけれど、まぁ概ね決められた運命に沿って、寿命を全うしたのだけれどね――――。」 という切り口で、シャルディアは話し始めた。
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