最強の姫に

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「じゃあ、行こうか」 サーラは金髪を揺らしながらナギサに問うた。一方のナギサは、真面目な表情で頷いた。 冥王の「力をつけとけ」と言う言葉が頭から離れなかった。 だから、ナギサは軍人として地位を持つサーラに聞いたのだ。 サーラは目を丸くさせたが、すぐにぽんと手を叩いたのだ。 「ああ、じゃあさ、師匠のとこ行こうよ」 そう言い出したのはサーラだった。 師匠……その単語にナギサは目を見開いた。 「今は、軍の新人教育も彼が担当してるんだよ。たぶん、今日も軍部にいるんじゃないかな。行く?軍だったら私が連れてけば問題ないし」 その言葉に、ナギサは大きく頷いた。 「よし、決まりね。じゃあ、私は準備ついでにリナに言っとくから、出掛ける準備しといて!」 サーラはそう言うと、部屋を出て行った。 サーラに連れられ、ナギサが着いた先は、聖界防衛軍の総指令邸だった。しかも、彼女が歩みを進める先は、軍の中でも普通では入れない、新人専用の特訓場だった。 「いざ、となると、結構緊張するわね」 「久しぶりだもんねぇ。何より、師匠はナギサのこと愛しちゃってるし?」 「愛してるって……」 サーラのその台詞に、ナギサは顔の表情を崩した。と、その時ナギサとサーラはただならぬ気配を感じた。そして…… 「ナギサぁぁっっっ!!!!」 彼は突然現れた。その青の長い髪を振り乱し、犬のように嬉しそうにやって来る。 抱き着かれる寸前、サーラとナギサはつい、身を遠ざけてしまった。もちろん、彼はそのままの勢いで床に追突したが……。 「ひ、酷いじゃないか!!師匠をこんな扱いするなんて!!!」 「急に来たら、誰だって逃げると思いますけど?それに、それぐらいわかるんじゃないですか?」 「言ってくれるじゃないか。……ふっ、随分と大きくなったな」 「お久しぶりです。6年振りですね」 ナギサは笑みを零しながら、彼を見据えて言った。 彼――カズエラ=レキニートは武道に長けた人間だ。聖界一と謂われる剣術を始めとした武術を操り、軍や月王家、月聖家のほとんどが彼に教わっている。 「よし、実戦しようか。体は覚えてると思うし、ナギサの剣裁きは、目を見張るものがあったからね」 そういうと、彼は半ば引きずるような形でナギサを実戦場へと連れて行った。
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