姫と魔女

3/3
前へ
/22ページ
次へ
「魔女様、出てきてください。」 少女は魔女を呼びました。 どこからもなく魔女が現れました。 荒れ狂った炎に包まれたはずなのに、無傷でした。 「……………………」 魔女は黙ったままでした。 「…魔女よ。守っていたのは本当だったのか?」 村長が質問しました。 魔女はこくりと頷きました。 「では、あなたの両親もそうだったのか?」 「私から説明します。」 少女が横に入ってきました。 「両親との契約が二年前で切れるため、クロノス城に来てもらうことになっていました。 しかし…その途中で、両親は魔物に殺されたのです…。 残された魔女様は、契約が切れないうちに、契約しないで、この村を覆う結界を自分で築き、二年も声を失われたままでした。 でも、私が来た以上、魔女様は声を取り戻すことができます。 何故なら、この場で契約をするのですから。」 少女は魔女に微笑みかけました。 魔女も同じようにしました。 「失礼…お嬢さんは誰なのですか?」 「クロノス城といい、契約といい、まさか…」 「申し遅れました。 私は、クロノス城の第一王女、アシェ=クロノスと申します。」 アシェは王家の紋章を村人たちに見せながら、名乗りました。 「姫様?!」 「どうして、ここに来られたのですか?!」 「契約のためですよ。」 アシェはにっこりと微笑みました。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加