~a prologue~

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俺の世界には、“音”が無い。 ……いや、生まれてから最初の数年は、まだちゃんと“音”を感じられていたハズやから、正確には“無くなった”が正しい。……まぁ、ほとんど最初から知らない、に等しいけど。 “音”、だけじゃなく、正直、今日までもっと沢山のモノを無くして来たけど………でも、決してそんな自分が不幸せだとは思わない。やって、俺には心の底から信用出来る仲間がいるし、有難い事に仕事もある。それから、……大切に想う人もいる。もちろん、持ち前の性格もあるのかもしれないけど、…まぁ、お陰様で毎日笑って過ごせている。 だから、最初はどうしても許せなくて、………そして同じ位、気になって、仕方なかったんや。 あんな、悲しい程の“作り物”の笑顔で笑う、アイツの事を。 アイツの笑顔が、きらいやった。 なぁ、 人間は、心から笑うから、 いつも笑顔で居るから、せやから、“幸せ”になれるんやで………… .
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