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「てか、いつまで見てんだよ。お前も着替えないと間に合わねーぞ」
「覗く気ぃ?うわー、朝から翔が飢えてるー」
「そっちこそ朝からその変なテンションやめろ」
俺がそう言うと、美夏はクスクス笑いながら自分の部屋のカーテンを閉じた。
全く、朝に強いのは羨ましい限りだ。
制服に着替え終わった俺は、部屋を出て下の階に降りる。
下からは何かを焼いている音が聞こえてきた。
リビングに入ると、音と一緒に匂いも漂ってきた。
「おはよう、母さん」
「おはよう、翔」
音と匂いの正体は卵焼きか。
ちなみに俺の大好物はだし巻き卵だ。
だし巻き卵が弁当に入ってる時はそれだけで一日乗り切れるくらい好きなんだよなー。
「あ、翔。今日は美夏ちゃんの分も作るから、美夏ちゃんに渡してくれない?」
「わかった。美夏の母さんに頼まれたの?」
「ん。今日は朝早くに出なきゃいけないらしくてね。はい、出来た!」
母さんから弁当を二つ貰うと、一つは俺の鞄に、もう一つは小さめの紙袋に入れた。
美夏の母さんは敏腕社長で、毎日忙しいらしい。
だからこうしてうちの母さんが美夏の分を作ってあげることもよくあるんだ。
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