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よし、弁当貰ったし、そろそろ行くか。
玄関に向かい、靴を履く。
靴ひもを結んでいると、リビングから出てきた母さんが、後ろから話しかけてきた。
「ねぇ翔。美夏ちゃんって彼氏とかいないの?」
「なんだよいきなり。あいつ男嫌いだからいないと思うけど」
「ふーん。…脈ありね!」
「はあ?」
何言い出すんだ母さん。
脈ありって俺があいつと付き合うって意味か?
「だって男嫌いなのに翔とは仲良いじゃない!つまりは脈ありよ!」
「いやいや、ほとんど家族みたいな関係だろ。俺もそんな気は無いし、あいつも無いよ多分。じゃ、行ってきます」
「お似合いだと思うけどなー。いってらっしゃい」
全く、朝から突然なんなんだ。
ドアを開けて外に出る。
ジリ、と暑さが一気に襲ってきた。
もう七月だ、暑くて当然だけど…一歩家を出ただけで汗が出てきた。
さてと、美夏はもう準備終わってるかな。
美夏の家のインターホンを押す。
呼び出し音が二回鳴って、しばらくしてから美夏が家から出てきた。
「待った? 弁当ちょうだい」
「まず『ごめん』とかだろ普通…」
俺への罪悪感より食い気かよ。
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