1 ツンツンなあの子

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よし、弁当貰ったし、そろそろ行くか。 玄関に向かい、靴を履く。 靴ひもを結んでいると、リビングから出てきた母さんが、後ろから話しかけてきた。 「ねぇ翔。美夏ちゃんって彼氏とかいないの?」 「なんだよいきなり。あいつ男嫌いだからいないと思うけど」 「ふーん。…脈ありね!」 「はあ?」 何言い出すんだ母さん。 脈ありって俺があいつと付き合うって意味か? 「だって男嫌いなのに翔とは仲良いじゃない!つまりは脈ありよ!」 「いやいや、ほとんど家族みたいな関係だろ。俺もそんな気は無いし、あいつも無いよ多分。じゃ、行ってきます」 「お似合いだと思うけどなー。いってらっしゃい」 全く、朝から突然なんなんだ。 ドアを開けて外に出る。 ジリ、と暑さが一気に襲ってきた。 もう七月だ、暑くて当然だけど…一歩家を出ただけで汗が出てきた。 さてと、美夏はもう準備終わってるかな。 美夏の家のインターホンを押す。 呼び出し音が二回鳴って、しばらくしてから美夏が家から出てきた。 「待った? 弁当ちょうだい」 「まず『ごめん』とかだろ普通…」 俺への罪悪感より食い気かよ。
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