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美夏は家の門から出たばかりのところだった。
俺が出てきたことに驚いたみたいだ。
「びっくりした、何よ?」
やっぱり少し不機嫌だ。
俺は率直に言った。
「さっき…俺がお前を抱きかかえた後からお前少し変だぞ。その後の悪口もなんかいつもと違ったしな」
「は、はあ?何言ってんの?」
「俺、何かしたか?もしそうだったらその…謝るよ」
「べ、別に何も無いわよ。気にし過ぎ」
少し動揺したように美夏は言った。
やっぱり様子が変だ。
いつもの美夏なら、調子乗んな、とか言いそうなんだけど…。
「じゃ、また明日。あんた明日からちゃんとランニングしなさいよ」
「え、本当にやるの俺?」
まさか本気だったとは。
てっきりいつもの冗談かと思ってた。
隣の家からドアが閉まる音がするまで待ってから俺は家に入った。
すると玄関には母さんがいた。
「ちょっと翔!美夏ちゃんを抱きかかえたって何!?そこのところ詳しく!」
「なんでもない!ってか盗み聞きしてたのかよ!?」
マイクを持つジェスチャーをしながら迫ってくる母さんから逃げるように、俺は部屋に飛び込んだ。
芸能リポーターかよ。
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