レイニー

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「で、結局実花って呼んでいいの?」 先輩は、傘に入らなくてもいい。と言ったが、悪い気がした私は先輩と俗に言う相合い傘をしている。 「…林田先輩の好きなようにしてください。」 ちょっとだけ、名前を呼ばれたことが嬉しかったこともあり、何だかんだ満更でもなかった。 「じゃあ俺のことも名前で呼んでな。」 先輩の左肩は雨で濡れている。 私に雨が当たらないようにしてくれているからだ。 「康仁先輩って呼びにくいから嫌です。」 「じゃ、呼びやすいように呼べよ。林田以外な。」 先輩はどうしても名字で呼ばれたくないようだった。 「康仁先輩って頑張って呼べるようにします。」 「まあ、それでいいや。」 先輩がそれだけで満足してくれるなら、それで大丈夫。
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