レイニー

10/12
前へ
/143ページ
次へ
最初、私の歩くペースに合わせる気が全くなかった先輩が、今じゃずっと合わせてくれる。 私のちょっとしたことに、先輩は笑みを浮かべてくれる。 「先輩。」 「ん?」 学校近くになった時、先輩を呼んでみたら、普通に反応してくれた。 「今日はありがとうございます。」 「何でも言ってよ。俺のできることなら何でもするから。」 「先輩は優しいですね。」 「実花程じゃない。」 先輩は真剣な顔で言った後、笑みを返してくれた。 先輩は今、どんな気持ちで私の隣にいるのだろうか。 「私が、好きな人できたって言ったら、先輩はどうしますか?」 どうして、私の口からそんな言葉が出たのかはわからない。
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!

332人が本棚に入れています
本棚に追加