音箱

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7月に入って、ふと考えることがあった。 私と先輩は付き合っているのだろうか。 知らないうちに、先輩が隣にいるのが当たり前になって、周りは冷やかすどころか、温かく見守っているという感じだ。 「おはよ。」 と、先輩が駅にいつものように待っていてくれて、私は小走りで隣に向かう。 「お疲れ。」 と、先輩がいつものように部活が終わるのを待っていてくれて、私は小走りで隣に並ぶ。 それが当たり前になってしまっていて、先輩と私はもしかしてヨリを何処かのタイミングで戻したのではと、真剣に考えてしまう。 「実花、彼氏いるよ。」 あの早紀ですら最近、先輩を彼氏と言って私をからかう。 最初否定していた私も、いつの間にか否定しなくなっていた。
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