音箱

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「実花いる?」 放課後、先輩が急に教室に入ってきて、周りは少し騒がしくなった。 「どうかしました?」 「あ、ちょっと話しに。」 頭を掻きながら、先輩はバツが悪そうにしていた。 あまり良い話ではないってことだけはわかった。 「少し待ってください。」 すぐに部活に行けるように、荷物を持って先輩に近寄った。 「学校の裏行こう。」 私は頷いて、先輩の後ろをついていく。 先輩の背中って広いな、と久しぶりに後ろを歩いたから思った。 「とりあえず座ろ。」 ベンチに腰掛けると、先輩は一つ深呼吸をして、私の方を見て口を開いた。 「実花は今、好きな人いるか?」 予期していなかった質問に、頭の中がこんがらがる。
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